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遺伝子等の基礎知識

遺伝子等の基礎知識|萩崎クリニック|小倉北区萩崎町の自由診療・総合診療

はじめに

遺伝子

人体には皮膚、筋肉、骨、血管、神経、脳、心臓、肝臓など、様々な働きを持つ器官があります。これらすべての器官は細胞によってできています。人体の細胞の合計は、約33兆個あると言われています。どの細胞も、ひとつの受精卵から変化してできたものです。 人間のあらゆる細胞は、父親の精子と母親の卵子が受精してできた受精卵が細胞分裂して、すべての細胞の基になる細胞が生まれ、そしてこれがまた分化していろいろな器官の基になる細胞が作られます。 全ての細胞1つ1つに、その人の持つ個別情報が保存されています。その個別情報は遺伝子と呼ばれ、細胞核内の染色体の中に含まれており、DNA構造をとっております。 遺伝子検査は、この細胞にある遺伝子を解析し、生まれ持った体質を知ることのできる検査です。「DNA検査」と呼ぶこともあります。

遺伝とは

遺伝とは親の特徴が子へ受け継がれる現象のことです。身長や体型、表情などの見た目に関わる特徴、生活習慣、病気のなりやすさ、性格などが引き継がれます。 親から子へ遺伝子(遺伝情報)が引き継がれるとき、人間の場合は母方と父方のそれぞれから遺伝子を受け継ぎます。

細胞内情報の模式図

細胞内情報の模式図

細胞(Cell)の核(Nucles)内に染色体(Chromosome)があり、その末端部分をテロメア(Telomere)と呼びます。 染色体をさらに細かく見るとDNA構造をしていることが分かります。

染色体(chromosome)とは

一つ一つの細胞核中に含まれており、細胞分裂のときに形成されるもので、ひも状のDNAが棒状に束ねられ46本の染色体を形成します。DNAはこの時に複製され鋳型とまったく同じものが新たな細胞に受け継がれていきます。 また、染色体46本のうち23本は母親由来の染色体であり、もう半分は父親由来です。母親と父親から一本ずつ性染色体を受け継ぎ、それ以外を常染色体と呼んで区別しています。

染色体

DNAとは

DNA(デオキシリボ核酸)とは、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4種類の塩基(有機化合物)で構成された物質です。人間の37兆個と言われる全ての細胞に存在し、1つ1つの細胞の核中に存在します。直径2nm(ナノメートル)でできた3.3㎝の糸状の物質で、その2本のDNAが向き合ったらせん状の形をとっています。 DNAの配列情報により、自分のコピーを作ることや、遺伝情報として次世代につなげることを行います。情報に基づいて体の細胞、器官、臓器が作られていくため、「体の設計図」と呼ばれます。

遺伝子とは

遺伝子とはDNAが記録している遺伝情報のことです。その1つの単位を遺伝子といいます。人では約2万数千個の遺伝子があると言われております。

テロメア(Telomere)とは

テロメアは遺伝情報のない、DNA構造の集合体です。染色体の両側末端にあります。遺伝子DNAがむき出しにならないように保護するキャップのような構造体です。

DNAと遺伝子の関係

DNAが物質そのものであるのに対し、遺伝子はDNAに記載されている情報を指します。 DNAの情報に基づいて子孫に受け継がれる特徴を「遺伝形質」と呼び、遺伝形質を決める因子のことを「遺伝子」と言います。 遺伝子は生体の材料となるタンパク質の構造を決め、使われる量やタイミングを調節し、また親から子に伝わる「遺伝情報」そのものです。 上記に記載したテロメアのようにDNAの全ての塩基配列に遺伝子の情報が載っているわけではなく、使われていない部分や、はたらきが判明していない部分もあります。

自分と他人の設計図の違いは?SNP(スニップについて)

ヒトのDNAの配列は99.9%が同じで、残りの0.1%は異なるといわれています。例えば、ある人の塩基配列はATGCなのに、他のある人はATCCになっていることがあります。 その微小な違いが人の髪の色や目の色といった姿形や性格、体質などの個人差となって、一人ひとり全く異なる個性を生み出しています。この違いはDNAの中で1カ所の塩基が別の塩基に置き換わって生まれる多様性、「SNP(一塩基多型)=スニップ」が元になるとされています。塩基がわずか1カ所異なるだけですが、お酒に強いか弱いなどの体質や病気へのかかりやすさが左右されることもあります。

SNP

遺伝子検査について

遺伝子検査とは、細胞を採取してDNAの情報を読み取り、病気のかかりやすさ、体質などの遺伝的傾向を知る検査です。現在の遺伝子検査の多くは遺伝情報の違いが出現するSNP(スニップ)を確認することで解析しております。 解析したSNPにより、がん、糖尿病、脳梗塞などの病気のかかりやすさや、皮膚などの体質項目について調べることができます。

遺伝子検査の意義

当院で考える遺伝子検査の意義は、遺伝子検査を行うことで自分の遺伝的素因を知り、遺伝的にかかりやすい病気の傾向を学び、病気にかからないために生活習慣の改善を行うことと考えております。

遺伝子強度・老化度について

まずはテロメアについてもう少し解説します。

細胞の分裂、老化とテロメアの意義

細胞が分裂増殖するには自身のDNAを複製する必要があります。細胞分裂の過程で遺伝子情報が存在する染色体を無傷で引き渡さなくてはなりません。しかし細胞分裂中に染色体構造は壊れやすくなり、壊れた染色体が他の染色体と融合したり、染色体異常を起こすことがあります。染色体異常が起きた細胞は機能不全や細胞死(細胞老化)、異常増殖(がん細胞化)を起こすことがあります。 我々すべての人間は通常の細胞分裂の過程で染色体の両端DNA(テロメアDNA)は完全には複製されず、徐々に失われていきます。テロメアはもともと染色体の末端を保護する役割を持っていますので、その短縮が限界に達しますと、DNA鎖の先端がむき出しになってしまいます。むき出しになった状態のDNAをもつ細胞は分裂することが出来なくなります。これを細胞老化と呼びます。 テロメアDNAは完全ではありませんが、細胞分裂の際に複製されることが分かっています。テロメラーゼと呼ばれるテロメア合成酵素があり、この作用にて複製されるのです。しかし人体内に細胞が半永久的に複製できるだけのテロメラーゼは無く、テロメラーゼ分泌は減り、徐々に活性を失っていきます。年齢と共に細胞老化(細胞分裂が起きなくなる)のはこのためです。 しかし細胞老化自体は悪いことだけではありません。テロメアの長さは細胞分裂回数に直結していますが、テロメアDNAがいつまでも脱落せず、異常な増殖性を持った細胞はがん化することもあるのです。テロメア脱落は細胞がん化を未然に防ぐ仕組みのひとつとなっています。がん細胞ではたいてい、テロメラーゼが活性化しており、この酵素の働きによってテロメアが安定に維持されがん細胞が無限に分裂されてしまうのです。そのため人工的にテロメラーゼを増やす方法で長生きすることはかえって命の危険性を増やす可能性があります。

矛盾するようですが、テロメアが永遠に複製されることでも細胞の異常増殖により腫瘍化が促されますが、逆にテロメアが短くなり細胞老化が進むと血液のがんや皮膚がん、すい臓がんなどの消化器系がんが増加することがわかっています。テロメアの保護を失った遺伝子が損傷を受けると変造された遺伝子ががんにつながることもあるのです。また、テロメラーゼが少なすぎると免疫系細胞の作用が弱くなり免疫システムが働かなくなることもあります。 結果的にテロメアに対するテロメラーゼの行動をうまく制御することが細胞老化に大切となります。 ここでテロメアが制御できるのかが話題となるわけですが、ストレスにさらされるほどテロメア長は短くなり、テロメラーゼは低くなることが分かっています(Elissa Epel,* Jenn etc. Can meditation slow rate of cellular aging? Cognitive stress, mindfulness, and telomeres Ann N Y Acad Sci. 2009 Aug; 1172: 34–53.)。この研究からは自身の心身状態を制御することで細胞レベルで変化が表れ、また細胞老化を緩やかにすることが可能だと示唆されています。

遺伝子強度・疲労度検査の意義

テロメア検査は自身のテロメアの健康度をチェックする指標として利用してください。 テロメア長は生活環境を含めた自身の状態により変化します。そのため単発の診断よりテロメア長が時間とともにどのように変化するかことに価値があると考えます。

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